臨床研究について

当院の画像診断装置を用いて行っている研究課題について以下に開示しています。
主として、一般的に行われている画像診断撮影について、よりよい撮影方法を探索する研究を行っています。
研究方法としては、観察研究、遡及的研究、模擬人体モデルなどを用いた研究が主体です。
遡及的研究とは、既に検査を受けられた患者さんの画像について画質評価や実効被ばく量の評価を行う研究です。
個人情報の匿名化は厳重に行いますのでご安心ください。(画質評価などの際には個人情報は匿名化します。研究成果の公開の際には改めて個人情報の匿名化を確認します。)
*なお、研究への参加に同意されない方はご連絡ください。

2017年11月18日土曜日

低粘度造影剤を用いた冠動脈CTに関する検討

課題名:低粘度造影剤を用いた冠動脈CTに関する検討
Ⅰ 背景:現在、一般的に用いられているヨード造影剤350製剤や370製剤と比較して、320製剤(Ioversol 320)は粘度が低い。
Iohexsol 350  10.7
Iopamidol 370  9.4
Ioversol 320   6.1
低粘度の造影剤を用いると生理食塩水の後押しによるwashoutの効果がよい・時間濃度曲線のpeakの立ち上がりがよいことなどが、ファントムを用いた基礎実験で確認されている。
Ⅱ 方法:現在行われている注入方法と総ヨード量およびヨード注入速度を同一として320製剤を用いた冠動脈 CT を行う。
Iohexsol 350 0.08mlxBWx12秒
Ioversol 320 0.0875mlxBWx12秒
Ⅲ 対象:当造影剤・当使用法とも従来から一般的に用いられている方法の一つであるため、一般臨床撮影にて使用可能である。
ただし、注入量が増えるため、安全性を考慮し、造影剤の注入速度は5ml/秒を限度とする。従って体重55kg 以下を対象とする。
期間を限定してIohexolとIoversolを使用する。通常の造影CTに準じて文書による同意を取得する。
Ⅳ 期待される効果:デッドスペースに残留する造影剤が減量することが期待できる。
1.残量が少なければ、注入された造影剤はより有効に撮影領域の造影効果に寄与できる。
2.従来の350或いは370使用時と比較して同等以上の造影効果を期待できる可能性がある。
Ⅴ 検討により明らかにしたい点:
1.基礎実験で確認されているデッドスペースの造影剤残留を臨床データで確認できるか?
2.大動脈・冠動脈の造影効果に差が見られるか?
3.造影剤の粘度により生食後押しの効果に違いがあるか?
Ⅵ 倫理的配慮:
臨床的必要性がある患者に対する最善の使用方法であるため、一般臨床における造影剤使用に準じて説明し、文書による同意を取得する。
撮影後のデータの扱いについては匿名性を保つようにし、プライバシー保護に努める。また研究成果を公開する場合にもプライバシーの保護に努める。
当院の「個人情報保護方針」に同意を得られていない患者についてはデータ検討から除外する。
Ⅶ 研究対象となる個人への不利益並びに危険性と医学上の貢献の予測:
個人への不利益は一切発生しない。
臨床的に有用な造影法を明らかにすることで、冠動脈CTの精度をさらにたかめることが期待できるため、今後の日常臨床に大いに寄与すると考える。
Ⅷ 研究組織
研究代表者 森谷浩史(大原医療センター 画像診断センター)
研究協力者 大原医療センター 画像診断センター・循環器内科
中川学 秋元達也(仙台厚生病院 放射線科)
2011年7月申請 研究終了。学会発表済み。
*低粘度の造影剤を用いることで造影効果が高まることが確認できた。

0 件のコメント:

コメントを投稿