臨床研究について

当院の画像診断装置を用いて行っている研究課題について以下に開示しています。
主として、一般的に行われている画像診断撮影について、よりよい撮影方法を探索する研究を行っています。
研究方法としては、観察研究、遡及的研究、模擬人体モデルなどを用いた研究が主体です。
遡及的研究とは、既に検査を受けられた患者さんの画像について画質評価や実効被ばく量の評価を行う研究です。
個人情報の匿名化は厳重に行いますのでご安心ください。(画質評価などの際には個人情報は匿名化します。研究成果の公開の際には改めて個人情報の匿名化を確認します。)
*なお、研究への参加に同意されない方はご連絡ください。

2020年5月13日水曜日

課題名  ヘリカル撮影を用いた胸部CT前位置決め撮影による撮影精度向上


1.課題名  ヘリカル撮影を用いた胸部CT前位置決め撮影による撮影精度向上

2.主任診療者所属
職名 大原綜合病院 画像診断センター
氏名 森谷 浩史

3.分担診療者所属(当施設 分担担当研究者)
職名 放射線技師
氏名 橋本 浩二 千葉 洋史 村松 駿 鈴木 雅裕 他

4.診療行為等に関する実施計画の概要
低線量固定線量CT撮影を行う患者に対して、胸部CT前の位置決め撮影を従来の前後・左右撮影の代わりにヘリカル撮影によって行う
従来法よりも精度の高い位置決めをより低線量で行えるため、追加撮影や被曝の増加などの患者への不利益は発生しない
本位置決め検査法についての説明を画像診断センター内に掲示するなど、周知し本位置決め法を希望しない被験者に対しては従来法で行う

5.診療行為等の対象および実施場所
対象 CT検診などの低線量(固定線量)CT撮影を行う患者
場所 大原綜合病院 画像診断センター
期間 20198月~12

6.診療行為等に置ける倫理的配慮について
上記 4 記載の通り

臨床研究実施計画書
令和元年88
研究部署 画像診断センター
研究責任者 森谷浩史

研究課題名  ヘリカル撮影を用いた胸部CT前位置決め撮影による撮影精度向上

【目的】  ヘリカル撮影による胸部CT前位置決め撮影の有効性を評価すること

【研究の背景】 現在のCT撮影では一般に天井方向からの上下スキャンと横方向からの左右スキャンを行い、被験体の位置を確認した上で本撮影を行う。この場合、体幹部の断面の重心が撮影中心から離れていると撮影範囲から外してしまう場合が発生する。
位置決め撮影自体を立体的に行うことができれば、被験体の位置を確実に把握することができるため、撮影範囲の誤設定が発生しない。そこで、ヘリカル撮影による胸部CT前位置決め撮影を行い、有効性を評価したい。

【具体的設定】 現在行われている位置決め撮影は、体格に合わせた管電流自動制御を行う際に必須の方法であるため、管電流自動制御の必要のない検診CTなどの管電流固定撮影の際に行う。この際に、現在の位置決め撮影の被曝を超えない設定とする。従来法の代替として用いるため、新たな侵襲は発生しない。
また、線量の目安を、侵襲的検査と胸部単純X線写真と同等の設定とした。この理由は、X線撮影やCT 検査には放射線暴露という「侵襲」が存在するが,年間の自然暴露との比較から,10 回以下の単純X線撮影、2回以下の造影なしCT 検査は「軽微な侵襲」と判断してもよいと考えられていることによる。

【評価方法】 本撮影の撮影中心と被験体の断面重心の距離を、従来法と本法とで比較する。

【予想される不利益】 従来法の代替として用いるため、新たな侵襲・不利益は発生しない。

【個人情報擁護の手法】 臨床情報の診療外利用について非同意を表明している患者については対象としない。画像を用いる解析は院内の画像観察装置で行うため、個人情報の漏洩などの危険性はない。定量化データの集計にあたっては患者名や個人特定可能情報を用いない。学会等での発表においても個人が特定できるような情報は公開しない。

【期待される効果と将来の臨床応用】 従来法よりも低線量で被験体の位置を確実に把握できることが期待される。本法の優位性あるいは非劣性を確認できれば、以降の方法を本法で行うことを考慮する。

【有害事象への対応】 比較のための従来法のデータは、現有データを使用するので、該当しない。個人情報保護については、後述する。

【被験者用説明文と人権擁護のための方策】大原綜合病院では、診療の一環として得た情報について、包括同意を得ている。また、高機能CT・高機能MRI検査のretrospectiveな研究に関しては、個々に院内の倫理委員会の承認を得て行っている。したがって、画像データの診療外使用を希望しない患者については検討に用いない。本研究のうち過去のデータを使用するものについては、新たに被験者同意を取得することが困難である。臨床研究のうち、患者への侵襲や介入のない診療情報等の情報のみを用いる研究に相当するため、国が定めた「オプトアウト」の指針に基づき、研究目的・実施について大原綜合病院・画像診断センター掲示板およびホームページにおいて公開し、拒否の機会を保障する。データについては、大原綜合病院にて連結可能匿名化後に、研究に用いる。そのため、個人を特定できる情報が公開されることはない。

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